剣道において反則の種類を知る事は非常に重要です。
しっかりと理解しておかないと、試合中に思わぬペナルティを受ける可能性があります。
この記事では、反則の基本や主な種類、そしてそれを避けるためのポイントを解説します。
剣道における反則の基本とは
剣道の反則の定義と目的
反則は、試合の公正さを保つために必要不可欠なルールです。
基本的に、剣道の反則とは選手がルールに違反する行為を指し、その目的は競技者同士の安全を確保し、技術の正確性を促進することにあります。
剣道の反則の定義については、全日本剣道連盟により、以下のように定められています。
第3章 禁止行為 第1節 禁止行為事項 第17条 諸禁止行為
①定められた以外の用具(不正用具)を使用する。
②相手に足を掛けまたは払う。
③相手を不当に場外に出す。
④試合中に場外に出る。
⑤自己の竹刀を落とす。
⑥不当な中止要請をする。
⑦その他、この規則に反する行為をする。
全日本剣道連盟 第1編 第3章
反則の種類一覧
剣道における反則の種類には、我々が試合に臨む際に注意すべき重要な事項が多く含まれています。
これから、代表的な反則例をいくつか見ていき、試合の質を保つための理由と重要性を理解しましょう。
竹刀を用いた不適切な行為
竹刀を持っている選手が、意図的にまたは不適切に竹刀を使うことが反則に当たります。
たとえば、相手を小突いたり、足などの有効打とならない箇所を狙い、竹刀を不適切に扱った場合等が該当します。
また、注意点としては、自分の竹刀を落とすこと自体が反則になります。
その為、どんな状態になったとしても、自分の竹刀だけは落としてはいけませんし、拾う時は片膝をつく事が必須とされます。
これは武士道精神に通ずるものから来ており、竹刀を自分の命だと思って扱う必要があるからです。
この他にも、竹刀を担ぐ行為や、剣先を地面に突き立てるような行為も、場合により反則となります。
さらに、大会では竹刀の検量が行われますが、この検量が済んでいない竹刀を試合で使用した場合も、もちろん反則です。
竹刀は神聖なものであるという認識を持つ事と、万が一を考慮し、竹刀の予備もしっかり準備しておくのが必須です。

⇒「性別や年代別で違う竹刀の各規定表!検量で見る長さ、重さ、太さとは」
不適切な構え
極稀にあるのが、竹刀を中段と上段の中間のような位置で構え、防御態勢で居続ける行為です。
これは時間の空費と捉えられます。
イメージとしては、面&籠手&胴を同時に守るような構えで、このような不適切な構えは反則を取られます。
具体的に規則内で言及された内容では無いため、あくまで体験談ですが、実際に反則となる行為です。
身体の不適切な使用
身体を利用した行為で相手に危害を加えることも反則です。
具体的には、アームロックや身体を押し付けての攻撃がこれに含まれます。
こうした行為は、相手選手の安全を脅かすために厳しく取り締まられています。
試合中のモラル違反行為
モラルの違反では、主に試合の進行に従わない迷惑行為を指します。
例として、選手がパフォーマンスのために不適切な動きをする、または試合のルールに基づかない行動をする場合です。
具体的には、勝手に試合を中断することや、審判の決定に対して攻撃的な反応を示すことが含まれます。
また、試合中の暴言やガッツポーズ等も反則の対象となるため注意しましょう。
場外について(審判細則 第15条)
場外の定義についても、全日本剣道連盟から補則がなされています。
主に以下の3パターンが「場外」に該当します。
ただし、有効打を放った後に残心を取る形で場外へ移動してしまった場合は、反則とはならずに1本となります。
①片足が、完全に境界線外に出た場合。
②倒れたときに、身体の一部が境界線外に出た場合。
③境界線外において、身体の一部または竹刀で身体を支えた場合。
全日本剣道連盟 第2章 第15条
その他の反則例
なお、全日本剣道連盟では、上記で説明した規則第17条7号の禁止行為について、審判細則 第16条で以下のような違反例も挙げています。
①相手に手をかけまたは抱え込む。
②相手の竹刀を握るまたは自分の竹刀の刃部を握る。
③相手の竹刀を抱える。
④相手の肩に故意に竹刀をかける。
⑤倒れたとき、相手の攻撃に対応することなく、うつ伏せなどになる。
⑥故意に時間の空費をする。
⑦不当なつば(鍔)競り合いおよび打突をする。
全日本剣道連盟 第2章 第16条
試合でよく見るのは、⑦の「不当な鍔迫り合い」に該当する例です。
鍔迫り合いの時間を休憩のように多用していると、反則を取られることがあります。
特に初心者に多くみられ、ルールを理解していないと、なぜ反則になったのか分からない状態になってしまうでしょう。
試合に挑む前に、再度ルールの確認は必要ですね。

反則が試合に与える影響
試合中に反則を犯すと、さまざまなデメリットが発生します。
反則で一番影響があるのは勝敗に左右する点ですが、その他にもメンタル面等で様々なことが考えられます。
主なデメリットは以下の通りです。
反則2回で相手に1本が与えられる
反則行為をした結果、計2回の反則としてカウントされてしまうと、相手に1本が与えられてしまいます。
これは非常に大きな影響となり、延長戦中にこういった場面になってしまうと、問答無用で負けてしまいます。
いくら試合を有利に運んでいたとしてもマイナスでしかないため、自分の行動は律するようにしましょう。
心理的ストレス
反則を犯すと、自分自身やチームが有利ではない状況に追い込まれます。
これにより選手は不安や焦りを感じ、通常のパフォーマンスを発揮できなくなってしまうことがあります。
特に、場外には必ず出られなくなるため、移動が控えめになり、結果的に残心を取るのが難しくなる傾向になります。
試合の流れの変化
反則が起きると、試合のペースや流れが一変します。
たとえば、相手選手が反則を受けた場合、こちらは士気が高まり、一方反則をした選手は自信を失う可能性があります。
また、相手が使用する技にも変化が起きる可能性が高く、こちらとしては断然攻めやすくなるでしょう。
逆の立場であれば、再度反則の判定を受けないように注意する必要があります。
最後は主審の判断
反則は主審によって判定されます。
そのため、反則を犯すことで思わぬ形で試合が止まったり、一時的なペナルティを受けたりします。
これにより試合の流れが大きく変わることがあります。

まとめ
試合での反則は、単に反則点を取られるだけでなく、試合全体の流れを左右する可能性があります。
そのため、反則の種類やその影響を理解し、正しいルールを守ることが重要です。
反則の種類やルールについて知識を持つことで、選手は自分自身を守ることができます。
具体的には、竹刀の使い方や身体の動かし方を意識することで、反則を避けることが可能になります。
また、試合中には冷静さを保ち、状況を判断する力が求められます。
例えば、試合中に不適切な構えや技を使うことで、意図せず反則を犯すことがあります。
このため、正しいフォームを習得することや、反則を避けるための練習を行うことが効果的です。
日々のトレーニングで判断力を高めるおよび試合のシミュレーションを行うことで、実際の試合での反則を減らすことができるでしょう。
結論として、剣道における反則について理解を深め、それを避けるための努力をすることで、自信を持って試合に臨むことが可能となります。
ルールを正確に把握し、正しい練習を行うことで、良好な試合結果にも結びつくでしょう。
この知識は、選手としての成長にも直結するはずです。