剣道の各段位一覧表や称号の取得条件！合格率と審査時の着眼点とは

剣道における段位は、技術や精神的な成長を示す重要な指標です。

段位を取得することは、自身の努力を認めてもらうことにつながります。

剣道の道を歩む者にとっては一つの目標となり、練習の励みにもなるでしょう。

また、段位は名誉だけでなく、剣道においてのより高いレベルでの実力を証明するものでもあります。

この記事では、剣道における段位一覧と題して、各段位や称号の取得難易度や詳細について解説していきます。

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各段位の種類と合格条件について

段位の付与基準

初段から八段までを付与される基準は、全日本剣道連盟によって以下のように定められています。

1.初段は、剣道の基本を修習し、技倆良なる者

2.二段は、剣道の基本を修得し、技倆良好なる者

3.三段は、剣道の基本を修錬し、技倆優なる者

4.四段は、剣道の基本と応用を修熟し、技倆優良なる者

5.五段は、剣道の基本と応用に錬熟し、技倆秀なる者

6.六段は、剣道の精義に錬達し、技倆優秀なる者

7.七段は、剣道の精義に熟達し、技倆秀逸なる者

8.八段は、剣道の奥義に通暁、成熟し、技倆円熟なる者

全日本剣道連盟 段位の審査-付与基準

段位審査時の着眼点

各段位の審査時には、それぞれはっきりとした着眼点が定められています。

この内容を理解することで、これから何が必要なのか、足りないものは何かを知ることが出来ます。

自分が目指す段位の内容を把握して、段位審査に挑むようにしましょう。

初段～三段

①正しい着装と礼法

②適正な姿勢

③基本に則した打突

④充実した気勢

四段～五段

初段から三段の着眼点に下記の項目を加えたもの

①応用技の錬熟度

②鍛錬度

③勝負の歩合

六段～八段

六段から八段の実技審査は、初段から五段の着眼点に加え、下記の項目について、更に高度な技倆を総合的に判断し、当該段位相当の実力があるか否かを審査する。

①理合

②風格・品位

⇒「剣道における残心とは？起源から分かる本当の意味」

各段位の取得条件＆合格率一覧表

各段位の合格率に関しては当サイト調べによるもので、各都道府県により差が存在します。

初段から八段までの詳細な取得条件

剣道において、初段からの取得条件は各段位ごとに明確に定められています。

段位審査を受けるためには、年齢や段位取得年数に応じた特定の条件をクリアする必要があります。

段位を取得するための条件を知ることで、目標設定や練習計画が立てやすくなるでしょう。

初段の取得条件　合格率80～95%

一級受有者で、満13歳以上の者に受審資格があります。

初歩的な学科試験があり、日本剣道形の3本目までが審査に含まれます。

また、審査では、面打ち、小手打ち、胴打ちなどの基本技が求められます。

合格するためには、これらの技が確実にできることが不可欠です。

錬士六段以上の審査員5名から、3名以上の合意があった場合、合格となります。

二段の取得条件　合格率75～90%

初段受有後1年以上修行した者に受審資格があります。

簡単な学科試験（三段と共通の問題有）があり、日本剣道形の5本目までが審査に含まれます。

ここでは、基本的な打突や構え、応じ技などが評価されます。

さらに、審査中は礼儀作法も重要視されるため、精神面の準備も怠ってはいけません。

錬士六段以上の審査員5名から、3名以上の合意があった場合、合格となります。

三段の取得条件　合格率55～85%

二段受有後2年以上修行した者に受審資格があります。

基礎的な学科試験（二段と共通の問題有）があり、日本剣道形の7本目までが審査に含まれます。

審査では、基本技術の他に、応用技術の見せ方や試合での判断力も評価されます。

特に、相手との駆け引きやタイミングが重要視されるため、実戦形式での練習が重要です。

錬士六段以上の審査員5名から、3名以上の合意があった場合、合格となります。

四段の取得条件　合格率35～45%

三段受有後3年以上修行した者に受審資格があります。

学科試験では、言葉の意義や説明を問われる問題等が出題される他、全ての日本剣道形を覚える必要があります。

審査では、技術だけでなく心の強さや試合でのパフォーマンスも評価されます。

事前に試験内容を確認し、十分な心の準備をしておくことが求められます。

教士七段以上の審査員6名から、4名以上の合意があった場合、合格となります。

五段の取得条件　合格率30～40%

四段受有後4年以上修行した者に受審資格があります。

学科試験では、言葉の説明や心得について問われる問題等が出題される他、全ての日本剣道形を覚える必要があります。

五段審査では、気持ちの持ち方や、緊張した際の対処法にも影響されるため、心の準備も重要です。

完璧に技術が身についていると思っても、心の不安があれば実力を発揮できないこともあります。

教士七段以上の審査員6名から、4名以上の合意があった場合、合格となります。

六段の取得条件　合格率15～35%

五段受有後5年以上修行した者に受審資格があります。

六段からは学科試験が無い代わりに、実技と形でそれぞれ1次試験、2次試験という形式になり、より重点的に審査されます。

実技部門では、範士または教士八段で年齢71歳未満の審査員6名から、4名以上の合意があった場合、合格となります。

形部門では、範士3名の審査員から、2名以上の合意があった場合、合格となります。

また、六段取得から1年を経過した後に、地方連盟からの推薦があった場合は、称号である「錬士」への受審資格を得ます。

七段の取得条件　合格率10～30%

六段受有後6年以上修行した者に受審資格があります。

六段と同じく、実技と形による1次試験、2次試験の構成になっています。

実技部門では、範士または教士八段で年齢71歳未満の審査員6名から、4名以上の合意があった場合、合格となります。

形部門では、範士3名の審査員から、2名以上の合意があった場合、合格となります。

また、七段取得から2年を経過した後に、地方連盟からの推薦があった場合は、称号である「教士」への受審資格を得ます。

八段の取得条件　合格率0.5～1%

七段受有後10年以上修行し、かつ、満46歳以上の者に受審資格がある、剣道の最高段位です。

八段では、実技だけで第一次実技と第二次実技があり、その後に形の審査があります。

第一次実技では、範士で年齢76歳未満の審査員6名から、4名以上の合意があった場合、合格となります。

第二次実技では、範士で年齢76歳未満の審査員9名から、6名以上の合意があった場合、合格となります。

最後の形部門では、範士3名の審査員から、2名以上の合意があった場合、合格となります。

また、八段取得から8年を経過した後に、地方連盟からの推薦があった場合は、称号である「範士」への受審資格を得ます。

段位取得によるメリット

剣道の段位取得には多くのメリットがあります。

段位を取得することは、剣道を行う上でのモチベーションになるだけでなく、技術の向上にもつながります。

以下にその具体的な理由を示します。

自己の成長促進

剣道には段位ごとに異なる技術的な要件がありますので、初段から始まり、自分の段位を上げるために努力する過程は、自信を高める助けとなります。

精神面では、自分の限界を克服することで自己成長が図れます。

特に高い段位に挑戦する際のプレッシャーは、精神的な強さを培う良い機会です。

これにより自己肯定感が向上し長い剣道人生を通じて成長を感じられるでしょう。

例えば、初段を取得するためには基本的な打突が求められますが、二段、三段と進むにつれて複雑な技術や戦略を学ぶ必要があります。

また、段位を達成するために必要な練習や努力を通じて、自己管理能力や忍耐力が養われる点が挙げられます。

この流れは、子供から大人まで、年齢や経験に関係なく、誰でも適応できるため、多くの人が剣道に参加し、楽しむことができます。

権威性の向上

段位取得は、剣道界での認知度を高める要素としても機能します。

段位を持っていることで、他の剣道愛好者からの信頼を得たり、指導者としての道を歩む機会が増えたりします。

これは、特に長い間剣道を続けたいと考えている人にとって大きなメリットです。

また、段位を履歴書に書けるといったメリットも存在します。

反論として、段位取得は単なる試験であり、実際に技術が向上しないのではないかと考える人もいるかもしれません。

しかし、段位取得に向けた努力は、必然的に訓練や練習を積むことになりますので、技術の向上に寄与することは間違いありません。

⇒「剣道における面打ちの基本ポイント！絶対に意識する事とは？」

各称号の種類と合格条件について

称号の審査

六段以上からは、段位の他、各段ごとに称号を取得出来ます。

六段では錬士、七段では教士、八段では範士といった称号になります。

ただし試験を受審するには、地方連盟からの推薦を受ける必要があるので注意しましょう。

称号が付与されると、昇段審査の際に審査員として参加出来る立場となります。

もちろん、ただの段持ちよりも優れているとされているため、範士八段は剣道界では神のような存在です。

称号の付与基準

錬士、教士、範士には、それぞれ以下のような付与基準が定められています。

1.錬士は、剣理に錬達し、識見優良なる者

2.教士は、剣理に熟達し、識見優秀なる者

3.範士は、剣理に通暁、成熟し、識見卓越、かつ、人格徳操高潔なる者

全日本剣道連盟 称号の審査-付与基準

錬士の取得条件

六段受有者で、六段受有後、1年を経過し、加盟団体の選考を経て、加盟団体会長より推薦された者に受審資格があります。

審査の具体的な内容については、加盟団体からの講習（日本剣道形、審判法、指導法等）を受けた後、小論文の提出が主になります。

剣道に対する受け止め方や考え方を評価されます。

範士または教士で年齢71歳未満の審査員6名から、4名以上の合意があった場合、合格となります。

教士の取得条件

錬士七段受有者で、七段受有後、2年を経過し、加盟団体の選考を経て、加盟団体会長より推薦された者に受審資格があります。

審査では、加盟団体からの講習（日本剣道形、審判法、指導法等）を受けた後、筆記試験となります。

筆記試験は3項目に分かれていて、①日本剣道形と審判法、②指導法と剣道に関する一般教養、③小論文をそれぞれ審査されます。

範士で年齢71歳未満の審査員4名と、学識経験者とされる2名の計6名から、4名以上の合意があった場合、合格となります。

範士の取得条件

教士八段受有者で、八段受有後、8年以上経過し、加盟団体の選考を経て、加盟団体会長より推薦された者、ならびに全剣連会長が適格と認めた者に受審資格があります。

審査では、事前に予備調査が行われ、剣道人としての実績や指導者としての実績、講演録や人物の評価に至るまで、多角目線で審査されます。

また、審査員以外の第三者にも評価意見を求めることが出来るため、普段の行いですらも審査の対象となり得ます。

このような厳しい調査を経て、範士7名と学識経験者とされる3名の計10名の審査員から、8名以上の合意により合格となります。

まとめ

剣道の段位取得は、剣士にとって重要なキャリアの一環です。

段位は単なる称号にとどまらず、剣士が追求する技術や精神の成長を象徴します。

段位を身につけることで、自己成長を実感し、他の剣士と心理的な繋がりを持つことができるからです。

具体例として、初段を取得することで、剣道の基礎的な技術や立ち振る舞いを習得することが求められます。

また、三段や五段になると、より高度な技術の習得が必要とされる一方、試合における戦略やメンタルの強化も重要な課題となります。

このように、段位が上がるほど、自分自身に対する要求が高まるのです。

さらに、高段位を目指す過程において、仲間との切磋琢磨や、師匠からの指導を通じて得られる経験は計り知れません。

これらの経験は、技術の向上だけにとどまらず、人間性や精神面でも大きな影響を与えます。

結論として、剣道の段位取得は、単なる技術修得の過程ではなく、心の成長をも促す重要なステップです。

この成長は、日常生活においても良い影響を与えることでしょう。

段位を取得するための道のりは決して簡単ではありませんが、その先には多くの素晴らしい経験が待っています。